老人ホームなどの大型施設では、正社員だけでは手が足りず、派遣社員、パートなど様々な立場の人が一緒に働いていることが多い。その中で残念ながら派遣社員に対するいじめも起きてしまう現状である。
原因の一つは、介護業界がまだまだ若い職場で、新人や関わりのまだ浅い人に仕事内容をきちんと伝えて行くノウハウが確立されていないことがある。派遣社員はどうしても情報が少ない中で現場に放り込まれてしまうため、長く関わってきたスタッフと比べると情報量が足りず、何をどこまで、誰が伝えるのか、どこまでできるのかの確認が曖昧になりがちである。そのため「あの人は仕事ができない」「期待していた働きをしてくれない」という少しの行き違いが生じ、いじめにつながることがある。
もう一つは、やはり対人援助の中で抱えがちなストレスが弱い立場の働き手に向かいがちになるということである。介護度の重い方、認知症の方との関わりは想像以上に神経を使うことになる。やったぶんの感謝の言葉が返ってくるわけではなく、想いが伝わらないと感じることも多い。利用者にそのままストレスをぶつけるわけにはいかないのでそれが派遣社員へのいじめになってしまうのである。
もちろん、立場の違いなど関係なく楽しく働ける職場もたくさんあるが、どうしても雰囲気は施設長、責任者の性格などによって左右してしまいがちなのが現状である。介護業界で働きたい人はまず働きたい現場を見学し、どのスタッフも和気あいあいと仕事をしているか、ギスギスしていないか、責任者は信頼できそうか、ということをよく見極めると良い。